涙の分泌量が減ったり、量は十分でも涙の質が低下することによって、目の表面を潤す力が低下した状態をドライアイと呼びます。
目の乾燥感だけでなく、異物感・目の痛み・まぶしさ・目の疲れ・視力低下など、多彩な慢性の目の不快感を生じます。日常気づきにくい症状もドライアイが原因であることも多いです。
涙は目の表面を潤すだけでなく、角膜や結膜の細胞に栄養を供給しています。ドライアイでは、目の表面の細胞に傷ができやすくなります。
年を重ねると、涙の分泌量や質が低下します。年齢とともに眼表面と瞼の間の涙が貯留する場所が少なくなることがあります。結膜弛緩症の項目を読んでください。
女性の方が男性よりドライアイになりやすいことが知られています。
パソコンなど、モニターを見つめる作業を長時間行うことで、ドライアイ症状が起こりやすくなります。
冬の乾燥した季節でドライアイが悪化する人は数多くみられます。また、エアコンの吹き出し口に当たるところなどでも症状が悪化します。
特にソフトコンタクトレンズ装用者では、ドライアイの割合が多いことが知られています。
たばこの煙に曝されると、涙の状態が悪くなることが知られています。
血圧を下げる薬や精神疾患薬など「抗コリン作用」を持つ薬では、涙の分泌量が減少することがあります
点眼薬の中には、涙の安定性を低下させ、また角膜に障害を与えやすくなる成分が含まれていることがあります。ドライアイでは、点眼薬の中に含まれる防腐剤などによる障害も起こりやすくなります
目の表面の状態を調べるには、スリットランプと呼ばれる顕微鏡を使って、フルオレセインという黄色の染色液を少量点眼することがよく行われます。傷があるとその部分が染まって見えます。 また、同じ染色液で涙の安定性を調べる検査(涙液層破壊時間:BUT検査)も行われます。瞬きをしないで目を開けたままにして、涙の層がどのくらいの時間で乱れるかを調べる検査です。 いずれの検査も外来で行われ比較的短時間で終わり、強い痛みなどは感じません。
症状が軽い場合は、潤いを持たせる点眼薬で緩和させることができます。最近は涙を安定化させる点眼薬や分泌細胞を増やすような点眼薬もあります。症状に応じて点眼を選択しています。
涙の出口である涙点に栓(涙点プラグ)をして、涙の生理的な排出を人為的に遮断するような治療を行うこともあります。
長時間のVDT作業や運転では、瞬きの回数が減るのでドライアイ症状を悪化させます。適度の休みを取ることが目の健康に重要です。また、涙の状態を悪くさせる内服薬、コンタクトレンズ装用などを減らすことも一つの手です。