近年、患者数が急増している病気の1つに糖尿病があります。糖尿病は、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高い状態、つまり高血糖状態が続く病気です。
健康な人では、食後にすい臓からインスリンというホルモンが分泌されて、食べたものに含まれる糖分をエネルギーに変換します。糖尿病では、このインスリンの量や働きが低下してしまいます。
のどの渇き、多尿、全身の倦怠感、体重減少などが典型的な症状ですが、初期には全て症状がありません。
糖尿病は慢性的に全身に影響し合併症が怖い病気で、特に腎臓や神経、そして眼に現れることが多く、これらは三大合併症と言われています。
眼の合併症は糖尿病網膜症と呼ばれ、糖尿病と診断されたら定期的に内科・眼科検査を受け、適切な治療を続ければ防げます。
しかし、実際には初期に自覚症状がないため糖尿病を放置している方が多く、毎年3000人以上の方が視力を失い、成人の主要な失明原因のひとつになっているのが現状です。
眼球の奥には『網膜』という組織があり、カメラでたとえるとフィルムの役割を果たし、物を見るために重要な部分です。この網膜には細かい血管が全体にはりめぐらされています。血糖値が高い状態では血管に大きく負担がかかり、血液の流れが悪くなるため網膜に酸素や栄養分が不足します。
これらの不足分を補うためにもろい新生血管が発生し、これが糖尿病網膜症の原因となります。細かい血管が多い網膜では、高血糖の影響を受けやすいです。進行した場合には、大出血が起こったり、網膜剥離が起こったり、失明に至る場合もあります。
糖尿病が疑われたら眼底検査を受けましょう。眼底はからだの中で唯一直接みることができる血管です。
糖尿病網膜症は、病状が進行しても自覚症状がなかなか現れません。
自覚症状がないことで、 早期発見を困難にし、治療せず放置してしまうことが多々あります。
糖尿病の状態を把握する上で下記の質問への回答が重要になります。
眼科受診時には問診にて、今までの経過をお聞かせ下さい。